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Design office SWITCH

Design office SWITCH


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2012/03/06 update

人との出逢いに恵まれて生まれるデザインたち

北名古屋市にある『Design office SWITCH』は、代表でありプロダクトデザイナーの荒木まさかずさんが1人で運営している会社だ。そのプロフィールには、デザイナーの域に留まらない様々な肩書きが並んでいる。
手広く見えるそれらの活動はいずれも、「人」と「もの」を大切にしたいという原点から派生しているようだ。

流れ作業の大量生産に疑問

荒木さんの経歴を伺っていて、感じたことがある。それは、すべての仕事が不思議な縁で互いに作用し合っているということ。
その縁は、名古屋芸術大学美術学部に入学したことから始まる。



「昔から椅子や家具が好きで、大学では授業よりも工房での製作にのめり込んでいきました。家具を扱う仕事がしたくて、卒業後は紹介してもらった成型合板(※)の会社で働き始めたんです。実は、そこからが色々あって・・・」

企画・開発として入社したのち、最初は工場の各セクションで一連の流れを学んだ。そこで目にしたのは、流れ作業で大量生産されていく家具と、有能な職人もラインの一環でしかない虚しさだったという。
「それが仕事っていうものだろうけど、当時は許せなかった。ひとつのものに対する愛着って、こんなつまらないものなのかって。椅子がかわいそうに思えました。」


※成型合板とは、薄い木材
の単板を、型にはめて曲面
状に形作りながら積層接着
すること。
椅子の座面などに良く用い
られる。


「だったら自分でやればいい!」と退社して今の会社を立ち上げたというのだから、決断と行動力に驚いてしまう。いざ看板を立てて仕事を始めたものの、最初から依頼が来るはずもなく苦戦したそうだ。
しかし、思いがけないキッカケから荒木さんの仕事は変化していくことになる。

気乗りしなかった大学生とのプロジェクトが・・・

独立してしばらくは、収入が安定せず、モデル制作会社で仕事をしながら、自分のデザインの仕事をしていたという。そんな時、自身の出身校である名古屋芸術大学から助手として働かないかと誘いがあった。
「迷いました。でも、自分の商品を作りたいという思いはずっとあって。より自分自身の商品開発にも注力できる環境をと考えて、助手になることを決めたんです。」

そこで、デザインしたペンスタンド「mousse」を販売し始めて1年ほど経った頃、デザイン研究科教授の平田哲生氏からあるプロジェクトを持ちかけられる。学内の椅子を新調する機会を利用して、学生たちと一緒にデザインから製作する『キャンパスチェア・デザインプロジェクト』だ。
荒木さんと学生、メーカーである天童木工が一体となり、椅子づくりが始まった。


ペンスタンド
「mousse」



学内でアンケートも取り、
デザインの意見を出し合う。

「僕は先生とか教える立場の職業が好きじゃなかったし、実は一番なりたくなかった。僕の言葉によってその子の可能性を潰してしまうかもしれない、なんて重い責任を背負う仕事は避けたいじゃないですか。
正直気乗りしなくて、やらなきゃいけないのか?と思いながら始めました。」

しかし、学生たちと関わるうちに考えはプラスへ変わっていったという。
「学生っておもしろいですよ、僕の方が教わることがいっぱいありました。無理だ、成り立たないってことも、知らないから好き勝手言っちゃう。その自由さが良い。
学生の目が輝いて生き生きしてくる姿も、やり甲斐に繋がっていきました。」


試作を重ねて一案に絞り
込まれた。


こうして出来上がった椅子は好評を博し、学内だけでなく天童木工が販売する商品「FINESTRA」として製品化された。ここから、荒木さんと名古屋芸術大学デザイン学部の学生たちによる、産学共同プロジェクトが始まる。

デザイナーと企業、双方が歩み寄る

産学共同とは、教育機関と民間企業が連携して開発や事業を行うこと。天童木工との椅子づくりの功績は予想以上の反響があり、大きなプロジェクトとして動きだした。

続いて取り組んだのは、ステーショナリー。開発を共にする会社は、デザイン性の高いインテリア用品を成型合板で製造するサイトーウッドに決まった。設立から60年以上の歴史を誇るこの会社との出逢いも、不思議な縁。

「サンドという商品をデザインしていた時、パーツ部分に成型合板が必要になりました。小さなパーツを制作してもらえる会社を探しまわっていた時に、学生の頃に読んだ雑誌の、『成型合板を1枚から請け負います』と書いてあったページに印したことをふと思い出して。その記事で紹介されていた会社がサイトーウッドさんでした。
サンドの仕事が順調に進んだ頃、齊藤社長に産学共同の提案をしたら「やるなら、作ったものを販売しましょう。商品にしなきゃ意味が無い」と言ってくれたんです。こちらと同じ考えでいてくれるんだ、って嬉しかったし心強かった。」


間にいろいろな物を
はさめる「サンド」


サイトーウッドの現社長・齊藤拓也氏は、若くて感性も柔軟。「これまでと違った新しいセンスを取り入れたい」と考えていた矢先に、持ちかけられた大学生とのものづくりを快諾したという。
協力的でありながら、コスト面や売れるかどうかというシビアな観点でも判断していく齊藤社長に、学生たちは刺激を受けながらぶつかっていった。

試行錯誤が繰り返され、現在までに4点が製品化された。いずれも、サイトーウッドのホームページで購入でき、全国のインテリアショップにて取り扱われている。


デザインで競い合うことは、
学生にとって大きな経験。


「学生は健気で、謙虚に指摘を受け止めてしまいます。でも、言いなりになってしまうのは良くないでしょう?僕は、学生と企業をつなぎ止めるサポート役かな。
僕がデザイナーとして前に出過ぎたら意味が無い、学生を活かした方が絶対良いものになるんですよ。そして、デザイナーと企業、双方が歩み寄った位置で作るのが一番理想的です。」

自分自身の商品開発ために始めた大学の助手が、転じて大学生との産学共同プロジェクトに主力を置くようになっていた。
「教えるはずが、僕自身が学生にのせられたのかな」と話す荒木さんは、どこか嬉しそうだ。

素材本来が持っている「記憶」の効能

荒木さんは現在、学校で使われなくなった廃材などを再利用する「Re∓design project」という活動も行っている。

幼稚園でいらないイスがあるから、これを使ってなにかやろうと提案されたことがキッカケだった。

「学校という記憶と思い出が染みついた素材って、おもしろいじゃないですか。使わなくなった机や椅子には、そのものに「記憶」が残っている。私たちの中にある大切な「思い出」も一緒に再利用できるという素材なんです。」


毎年、様々な学校で
机や椅子が廃棄される。


確かに、小学校の机の廃材で作ったという商品を触ると、懐かしさとぬくもりを感じた。触っているうち手にうつってしまう特有の木のにおいも、使い込まれた風合いも、自分の中に残っている記憶と同じ。

こんなエピソードもある。とある病院から、「机の廃材でDMスタンドを40セット作ってほしい。各病室に置きたい。」という依頼があった。
荒木さんの「もっと奇麗なもので作らなくていいんですか?」という問いに、医師は「この素材が患者にとっていいんです。」と答えたという。その素材を触るだけで不思議と心の安らぎが得られるということは、私自身も体感できた。

ステーショナリー、生活雑貨、万華鏡などのおもちゃにまで、机や椅子が面影を残しつつも姿を変えて懐かしさと共に手元へ戻ってくる。捨てられるはずだったものとまた新しい時間を過ごしていけるなんて、とても価値のあることではないだろうか。

自分を求めてくれる人に応えたい

荒木さんは小学生までの子どもを対象とした、ものづくりのワークショップ「こどもデザイン室」も開催している。子どもたちの楽しそうな姿が収められた写真と、自由な作品がとても印象的だ。
自分を求めてくれる人がいるなら、その人に応えていきたいと荒木さんは言う。



「自分のデザインとしては、一から新しくて奇麗なものを作るというのはもう違うかな。それより、そこにあるものをどう活かしてあげるか。
大量に生産される世の中だから、今あるものがこれからどう使われていくかを考えるのがデザインの大事な仕事だと思っています。」

人との出逢いによって仕事や考え方は変化していっても、愛情を持ってものづくりをしたいという根本的な部分は変わっていないようだ。

大学生との産学共同プロジェクト、廃材を利用した「Re∓design project」、子どもたちに自由な創作の場を提供する「こどもデザイン室」。
荒木さんを中心とするプロジェクトは、ものを大切に作ることによって人を笑顔にしている。

「大学生も、齊藤社長も、ワークショップの子どもたちも・・・周りの人がいるからこその「自分」という意識がすごく大きいです。自分があっての○○なんていうふうには思わないですね。僕は本当、人に恵まれて仕事をしています。」

ふり返ってみると、荒木さんが携わったデザインはどれも縁によってもたらされ、人と人とを繋いでいた。

(若林)



「子どもたちに自己表現
の場がないのは、将来的
にも良くない。」
と荒木さん。

デザイナープロフィール

荒木 まさかず

荒木 まさかず 1997年 名古屋芸術大学美術学部デザイン科スペ-スデザインコース卒業
2005年 名古屋芸術大学デザイン学部 助手
2008年 名古屋芸術大学非常勤講師
2009年 Re∓ design project 代表

【HPリンク】Re∓ design project: http://re-designproject.com/top.html
こどもデザイン室  : http://re-designproject.com/kodomo_design


【受賞暦】
1997年 商業フェスタ'97やすらぎロード広小路 丸栄賞
第29回毎日デザインコンクール 入選
1998年 和歌山県デザインコンクール 金賞
University of Brighon Award 2nd PRIZE
2000年 第11回生活者のデザイン展 銀賞 日本DIY協会賞
2005年 未来型あいち伝統工芸品コンペティション 優秀作品賞

【社会貢献/地域貢献など】
2007年 名古屋芸術大学デザイン学部 × (株)天童木工
産学共同プロジェクト 企画 商品化
2008年 名古屋芸術大学デザイン学部 × (株)サイトーウッド
産学共同プロジェクト 企画 商品化
三重県多気町佐奈小学校にてワークショップ 企画 家具、デザイン
2009年 名古屋芸術大学デザイン学部 × (株)サイトーウッド
産学共同プロジェクト 企画 商品化
三重県多気町外城田小学校にてワークショップ 企画 家具、デザイン
愛知県大口町大口北小学校にてワークショップ、家具 企画
2010年 名古屋芸術大学デザイン学部 × (株)サイトーウッド
産学共同プロジェクト 企画 商品化
愛知県大口町大口北小学校にてワークショップ、家具 企画
2011年 こどもデザイン室 主催
株式会社TAV 贈答品デザイン 商品化
愛知県武豊町富貴小学校にてワークショップ 企画
国際デザインセンター・デザインホールにてLINKS NAGOYA シンポジウム 講演

Design office SWITCH

事業内容

  • プロダクトの開発デザイン販売、地域ワークショップ、産学共同プロジェクト、Re∓design、こどもデザイン室主催

代表者

  • 荒木 まさかず

設立年

  • 2000年

tel

  • 0568-25-9300

fax

  • 0568-25-9300

E-mail

  • office_switch@yahoo.co.jp

住所

  • 北名古屋市〒481-0043
    北名古屋市沖村岡160
    グリーンヒル岡弥2A

分野

  • ID・プロダクト
  • 企画制作プロデュース

LINKS NAGOYAイベント参加状況

  • LINKS NAGOYA マーケット

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