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2012/02/03 update
アイデアの源は、好奇心と遊びゴコロ
デザイナーは、発想力が命。
なかでもアミューズメント性の高い製品のデザインほど、新しい発想やアイデアを求められるのではないだろうか。国民的娯楽の代表、パチンコもそのひとつだ。
「遊び」をデザインする
2010年7月に設立されたばかりのカプセルデザインは、名古屋市東区のビルの一角にオフィスを構えるデザイン事務所。工業デザインやグラフィックデザインの商品企画、デザイン提案、設計試作、キャラクターデザインなどをしている。
プロダクトデザインを担当している、代表兼チーフデザイナーの小川さんと、キャラクター・グラフィックデザイナーの河村さんにお話を伺った。
「事業の8割ほどがパチンコ機器関連の仕事です。人を楽しませるものを作るのですから、ワクワク感やドキドキ感を一番に考えることが大事ですね。楽しさを追求するアイデア勝負の仕事です。」と話してくれたのは小川さん。
桜通り沿いのビルの2階に
ある
パチンコは、多くの人を楽しませる「遊び」だ。人は「遊び」に刺激や新しさを求める。その「遊び」をデザインするには、突飛な発想や斬新なアイデアが欠かせないという。
「そのために必要なのが、情報収集です。」と河村さん。
今、どんな層の人たちに何が流行っているのか、どんなものに人気があるのかを知るために、インターネットやテレビ、雑誌をこまめにチェックしたり、身の回りの人に聞いたりして普段からアイデアの引き出しをたくさん作っておくのだそうだ。
「学生はどんなゲームをしているのか、とか、女性の人気ファッショントレンドとか、サラリーマンがハマっている漫画ってなんだろう、とか、今世の中が興味を持っていることの傾向を探ると、次のアイデアが生まれてくることもある。なんでも柔軟に吸収することが重要だと思います。」
「それと、いろんなものに興味をもつことかな。」と小川さん。
そういえば、このオフィスのいたるところにオモチャやミニカー、フィギュアが置いてある。仕事に関係あるとは思えない(?)ものも。。。
「面白そうと思ったものは、何でも手に取って遊びたくなるんですよね〜。フィギュアは仕事に役立つこともありますよ。グニグニ触っていると面白いポーズや動きの発想がひらめくこともあるので、キャラクターデザインの参考にしたりしますね。ミニカー?あ〜、あれは趣味。好きだから(笑)」
好きなことにのめり込むことも、デザインや企画の発想には大いに役立つ。これも引き出しの多さに繋がるからだ。
飾り棚にはフィギュアが
いっぱい
独自の世界を表現する、賑やかし
パチンコ機器のデザインには、グラフィックとプロダクトの2つのデザイン要素が含まれている。
たとえば、液晶画面やセル画はグラフィックの要素が強く、一方、枠の電飾や音響、ハンドルなどがプロダクト。盤面の役物は両方の要素、といった具合。
独自の世界観をもつデザインだけに、基本的な手法や流れは他のデザインとそれほど変わらないらしいが、考え方には少し違いがあるという。
「企画があって、それに合ったデザインを考え作り込む、という基本的な流れは一緒ですけど、まず違うのは、パチンコには役物という動くものがあるところですね。役物は全体のストーリーに合わせて動くので、そのギミックも考えなくてはいけない。あと、大きく違うのは、見ればわかるでしょうけど、パチンコは盛って、盛って、盛りまくるデザインなんですよ。」と、実機を見せながら小川さんが説明。それに合わせて、河村さんが指を差して教えてくれた。
オフィスには実機も
自動車や家電などのプロダクトデザインは、製品の魅力を見極め、それを一番に引き出す表現として"余計な物は削ぎ落とす"デザインが多い。
それに対しパチンコは"賑やかし"のデザイン。かといって、ただギラギラしていればいいものではない。
「楽しい要素がたくさん詰まっているほうがいいんだけれど、それが台の中で一体になるようにまとまっていなければいけないんです。派手なパーツを集めてるんだけど全体的にまとまっていて、目立つだけじゃなくて、パッと見て楽しそう!と思わせるデザインでないとね。それが一番難しいとこかな。」
人を楽しませるには、まず自分が楽しむこと
「人を楽しませるには、まず自分たちが楽しまないとね。」という小川さん。
かつてはギャンブル性の高い遊びと思われてきたパチンコだが、比較的リスクの少ない1円パチンコなどの普及により、今は若者から年配の方まで誰もが気軽に楽しむレジャー的な存在になってきた。ゲームセンター感覚で遊ぶカップルも多い。それだけ多くの人が興味をもつ、楽しい世界を創るには、まず、自分たちが楽しいと思うことが大切なのだ。
たしかに、創る人が面白くないと思いながら創ったものを、他人が面白いなんて思うはずない。
「でしょ。でも、自分がメチャクチャ面白い!と思って提案しても、反応イマイチってこともあるんですけどね(笑)。そういう時って、だいたい独りよがりのデザインに走ってるんです。遊ぶ人であるお客様や、製造するメーカーの姿が見えていない。ただの自己満足。」
そうならないように、時にはデザインを寝かすこともあるのだとか。
「自信が持てないような提案はしたくないですからね。アイデアにつまったら互いに相談し合うようにしています。」
「ここのギミックさ、もっと派手に遊んじゃっていいんじゃない?」とか、「このデザインは、この機器の企画に合ってないと思う。」とか。
プロダクトデザイナーとグラフィックデザイナーの両方の眼から、意見を出し合い知恵をしぼり、お客様の心をつかむデザインをつくりあげていくのだ。
人との出会い、経験をプラスに
「実は僕、この仕事をする前はパチンコしたことがなかったんですよ」と言うのは小川さん。子供の頃から好きだったのは、自動車。
「小学生の時から、将来はカーデザイナーになるんだと勝手に決めてましたね(笑)。学生時代の就職活動も自動車メーカー狙いだったんですけど、当時は就職氷河期で。卒業後に自動車用品も扱うプロダクトデザイン事務所に就職して、そこでいろいろな人と一緒に仕事をしたことが、すごくいい経験になりました。」
また、さまざまな領域の製品をデザインしてきた経験も、独立する際の大きな自信になった。ホイールなどの自動車部品や楽器、玩具や遊技機…。若い頃はメーカーの担当者に怒鳴られたこともあったというが、多くの現場を経験し、プロダクトデザイナーとしてのスキルを磨いたからこそ、現在の小川さんの姿があるのだ。
液晶画面やキャラクターなどのグラフィック全般をデザインしている河村さんは、かつて遊技機メーカーに勤めていたことがある。
「メーカーという器に頼らず、自分の力を試してみたい」という思いから退職。映像制作会社や専門学校常勤講師の仕事を経て今に至るという。
現在は、そのキャリアを生かしてオリジナルキャラクターの制作に取り組んでいる。
楽器のデザインも手がけてきた
「子供の頃から漫画とかアニメが大好きで、イラストを描くのも好きでした。今、パチンコを一番している人の年齢って、僕と同じくらいなんですよ。だから、彼らの興味や嗜好がすごく良く分かる。自分と同じだから。キャラクターを考えるのもすごく楽しいですね。」
制作中のオリジナルキャラクター
アイデアをカプセルに詰め込んで
現在は、事業のほとんどをパチンコ関連の仕事が占めているが、今後は他の製品にも着手し事業を広げていくつもりだと、小川さんは最後に語ってくれた。
「今の仕事で培ったナレッジって他に展開させやすいと思うんですよね。直接的なところでゲームとかWEB、映像なんかに発展させやすいかなと。今はまだ案件数が少ない工業デザインの分野も拡大していきたいですね。スタッフを増やして、将来はメーカー的な機能も持った『ものづくりアイデア集団』みたいな会社にしていきたいと考えています。」
続けて小川さんは「デザインって、生活を向上させていく、より快適な暮らしを楽しむための手法だと思うんですよね。だから僕たちは、みんながもっと楽しく暮らせるためのアイデアをカプセルにギューって詰め込んで、いろんな角度から社会に発信していきたいと思っています。」と話してくれた。
『今、面白いもの』より、『明日、面白いと思えるもの』を。
そしてなにより、楽しい仕事を。
自分たちの引き出しをフル活用しながら、
今日もカプセルデザインでは、笑い声とともに新しいアイデアが生まれているのだろう。
(ゆき)
スタッフ紹介
小川 大輔(代表兼チーフデザイナー)
【職種】プロダクトデザイナー
【出身校】名古屋造形大学
【血液型】B型
【特技】その場の空気を楽しくかえれること!
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デザインを通して多くのことを明るく、楽しく、変えていきたいと思っています。そのためには人とのつながりを大切にしています。この仕事は、多くの人と関われるのでとても面白いです。
河村 充
【職種】キャラクターデザイナー
【入社年】2011年10月
【出身校】コンピュータ総合学園HAL
【血液型】A型
【特技】リアル系からアニメ系、アメコミまで様々なテイストのキャラクターが描けます。
★ワタシPR★
総合学園ヒューマンアカデミー名古屋校で3DCGの非常勤講師をしています。若い学生と接する機会が多いので、10~20代の流行やトレンドを知ることが出来ます。今後は10~20代の若者が夢中になれるキャラクターをつくっていきたいです。