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有限会社 後藤デザインオフィス

有限会社 後藤デザインオフィス


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2011/12/20 update

メーカーと共に、歴史をつくるデザイン

名古屋市郊外の一宮市、木曽川にほど近い住宅街と田んぼの中に、モノトーンのブロックを組み合わせたような建物がある。
周りの風景と一線を画す、このモダンな雰囲気の建物が、プロダクトデザイナー後藤規文さんのオフィス。



ドアを開けて中に入ると、真っ白な壁と吹き抜け天井の開放的な空間が広がっていた。さらにロフトに上がると、テーブルの上に水筒や鍋のような商品がズラーッと置かれている。

「全部サーモスの商品なんですよ。」と説明してくれたのは、代表の後藤さん。

サーモスは、真空断熱ケータイマグや真空保温調理器シャトルシェフといったヒット商品を生み出している家庭用品メーカー。ロゴをご覧いただければ、「あ、見たことある」という人もいるだろう。
後藤さんは、そのサーモス全商品の約3分の1をデザインしている。


 サーモス

失敗も成功も。多くを学んだGK京都

サーモスとの出会いは、約20年前。
当時、後藤さんは京都のデザイン事務所、GK京都でプロダクトデザイナーとして仕事をしていた。

「GK京都という会社はプロダクトだけじゃなく、グラフィックも環境も何でもやっているデザイン事務所。12年間在籍していたので、いろいろな経験をさせてもらいました。僕がメインで担当していたのは、スーパーのレジスタとサーモスの商品でしたけど、物流倉庫で使われるロボットアームのデザインや、ボーリング場設備のトータル提案もやらせてもらって、うまくいかなかった案件もあるけれど、本当に勉強になりました。」


GK京都時代にデザインした
ロボットアーム


後藤さんがサーモスの仕事にたずさわるようになったのは、入社3年目のころ。
「レジスタとかロボットとかの仕事は意外と奥が深いし、やりがいも感じていましたけど、やっぱりマイナーな世界じゃないですか。もっとメジャーで、単純におもしろいもの、楽しいものをデザインしたいなと思っていた頃、ちょうど舞い込んできたのがサーモスの案件でした。」

最初は先輩の仕事を手伝う程度だったが、いつしかメインで関わるようになっていったという。
それから20年、今ではサーモスの顔でもあるケータイマグも多く手がけている。100万本売れれば大ヒット、と言われるなかで、400万本売れたスーパー大ヒット商品も後藤さんのデザインによるものだ。

開発段階から、どっぷり入り込む

後藤さんは、デザインをユーザー目線で考える。
使う人が使いやすいと思うデザインでなければ、多くの人に愛されない。だから、売れるためのデザインではなく、生活に馴染むデザインを第一に考える。



ケータイマグも、そんなユーザー目線の考えから生まれたカタチだという。
「これの原型はスポーツボトルです。スポーツ選手が試合のタイム中に飲んだりしているボトルあるでしょ?口にくわえて飲むあのボトル。スポーツボトルはあの発想から生まれたパーソナルボトルなんですよね。でも、あれでは熱い飲み物が飲めないんです。」
原型となったスポーツボトルは、飲み口がスパウト状になっていて、液体がダイレクトに口の中に入る構造をしている。これは、短時間で水分補給するためのデザインだ。

じゃあ、これで熱いお茶を飲んだら、口の中を火傷しちゃうってことですか?

「そう。だからスポーツボトルは冷たいドリンクを飲む用。でもスポーツする人だけじゃなくて、一般の人がパーソナルボトルを持っていても良いよね。いちいちコップに移さなくても、温かい飲み物でも直接飲めるボトルを考えようよ、ってことになって生まれたのがケータイマグ。飲み物を口に入れる前に、中の液体の温度を上唇で感じられる構造を考えたらこのカタチになったんです。」


スポーツをする人には
欠かせないスポーツボトル


製品が発売されると後藤さんは、実際に使っている人に聞き、次期製品に向けての改良点はないかと考え始めるのだとか。もっとコンパクトにするには、飲みやすいキャップの形状は、お手入れしやすい構造は、などなど。

こういったデザインの枠を超えたものづくりは、クライアントであるメーカーにどっぷり入り込まなければできないことだ。
デザインの提案だけでなく、一緒に開発に加わり、一緒にものづくりを進める。そんな後藤さんの姿勢が、メーカーから大きな信頼を得ているのだろう。

あったらいいな、をカタチに

ユーザー視点でデザインを考え、製品開発から関わる後藤さんの元には、多くのメーカーが訪れる。岐阜県の高橋製瓦も、そんな企業の一つ。
「自分のブランドを持ちたい」という高橋さんの思いを受けてカタチにしたものが、ベビーカーのCURIO(キュリオ)。

「初めてお会いしたとき、僕、説教したんですよ。」という後藤さん。
依頼をしてきた高橋さんは高橋製瓦の3代目。会社を継ぐ前は大手建設会社のサラリーマンだったという。
「ものづくりの経験もないのに、『自社でベビーカーを作りたいんだ』なんて言うからね。ベビーカーは成熟商品で安全基準も厳しく、誰にでも作れる物ではない、無理だろう、と話をしました。でも、どうしても作りたいって言うんですよ。子供が生まれてベビーカーを買おうと探したけれども、気に入るデザインがない。それなら自分たちで作りたいって。」

そんな高橋さんの熱意に押された形で始めたというが、製品化までに3年ほどかかったとのこと。
「やり始めたら面白くてね(笑)。父親向けのベビーカーってことで、僕自身、こんなベビーカーがあったらいいな、と思いながら考えました。」


CURIO(キュリオ)


自由な発想で、メーカーと共にアイデアを出し合い、ゼロから作るものづくり。何度も試作を繰り返し、完成したベビーカーは、今までにない斬新なデザインになった。他社製品より少し高めの価格にもかかわらず、市場の反応は上々だとか。
「全国の百貨店やネットショップでも話題の商品として扱ってもらっていますが、イクメンといえばCURIO(キュリオ)というイメージがもっと浸透するように、いや、女性でもカッコいい、使いたいと思ってもらえるように、ユーザーの声を聞きながら、まだまだ改良していきたいと思っています。」


後タイヤは安定性のある
キャンパー構造

成長を続ける、2人のデザイナー

この開放的な空間には、後藤さんの他に山本さんと秋山さんがいる。



デスク周りや後ろの棚に、趣味のクルマやお気に入りのアイテムを並べて仕事をしているのは、入社10年の山本さん。
「撮影用にだいぶ片付けちゃったんですけど(笑)、やっぱりお気に入りのものに囲まれていると楽しく仕事ができますね。」

WEBやシステムのGUI(グラフィカルユーザインターフェース)から商品パッケージまで、分野を問わずデザインする山本さんは今後、どんな仕事をしたいと思っているのだろうか。



「メガネのデザインとかしてみたいですね。あと以前からアクアリウムに凝っていて、水槽もいいですね。あ、そうそう、もともとクルマ好きでデザイナーになったので、いつかクルマもデザインしてみたいです。」と、思いは尽きない。

大学の先生でもあった後藤さんに誘われて入社したという秋山さんは、入社6年目。後藤さんと一緒にサーモスをデザインしたり、食品トレイなどのプラスチック容器を手がけている。
使う側、作る側の両方の立場から考えたデザインを心がけているという秋山さんは、普段から大量のラフを描くのだとか。



「アイデアが浮かんだら、とにかく手描きでラフを描きます。1つのデザインに10枚、20枚は当たり前。100枚描くこともあります。」
そういった、たくさんのアイデアから実際に商品化された初めての製品がサーモスのシャトルシェフKBCシリーズ。
「入社1年目で、嬉しかったです。母親にプレゼントしました。もちろん自分でも使っています。」


商品化第1号の
シャトルシェフ

好きこそ物の上手なれ

周りの風景のせいか、吹き抜け天井のせいか、撮影用にきれいに掃除してくれたからか(笑)、このオフィスは、本当に心地がいい。仕事場所というより、自分たちの部屋に招かれたような感じ。



よく見ると、壁の書庫には膨大な資料やサンプルと一緒に、ミニカーやフィギュアが並んでいた。観葉植物にも小鳥や昆虫がとまっている。


「あはは。その虫たちはガチャガチャの商品なんですよ、カプセル入りのオモチャ。ちょっと前に偶然街で見かけて、子供の頃を思い出しちゃって、しばらくハマっちゃってね〜(笑)。」と、ニコニコ笑いながら嬉しそうに話す後藤さん。



好きな『モノ』に囲まれて、デザインする『モノ』は、きっと幸せなデザインに違いない。つくる人が楽しんでいれば、それは、使う人にもきちんと伝わり、いつしか愛される『モノ』になる…。

そうやって、ものづくりの歴史はつくられていくのだろう。
(ゆき)

スタッフ紹介

後藤 規文(代表)

後藤 規文(代表) 【職種】プロダクトプランニング&デザイナー
社団法人日本インダストリアルデザイナー協会・理事
独立行政法人中小企業基盤整備機構・アドバイザー
愛知県立芸術大学・非常勤講師
名古屋芸術大学・非常勤講師




★ワタシPR★
理事を務めるJIDA(社団法人日本インダストリアルデザイナー協会)が、来年の2012年に創立60周年を迎えます。それに絡めて、この地方の女性デザイナーを集めて新しい活動が起こせないかと考えています。中部地方はメーカーが多く、インハウスの優秀な女性デザイナーがたくさんいます。彼女たちの力を借りて、新しいことができればいいなと思っています。

★学生へ一言★
大学講師の仕事もしているので、学生から「デザイナーになりたいのだが」といった就職相談をよく受けますが、あまり職種にこだわらず、営業でも企画でもなんでも挑戦してみるのも良いと思います。若いうちから将来を限定するのではなく、幅広い視野で社会を見ることも必要なのでは、とアドバイスしたいですね。みなさんの大きな可能性に期待しています。

山本 雄亮

山本 雄亮 【職種】デザイナー
【入社年】2001年4月
【出身校】河合塾学園 トライデント・スクール・オブ・デザイン
【血液型】B型
【興味のあること】いろいろなモノのインターフェイスに興味があります。




★ワタシPR★
プロダクト・グラフィック、デザインの分野を問わず、わかりやすく・使いやすいデザインすることをモットーに日々精進中です。

秋山 忠久

秋山 忠久 【職種】デザイナー
【入社年】2006年4月
【出身校】愛知県立芸術大学
【血液型】A型
【興味のあること】
最近興味あることは、茶道についてです。昔からある日本人の美意識みたいなものを再確認し、デザインとの関連性みたいなものを考えさせられています。


★ワタシPR★
基本的にプロダクトを中心に、業種問わずどんなものでもデザイン出来るようなデザイナーになりたいと思って、日々仕事をしています。

有限会社 後藤デザインオフィス

事業内容

  • プロダクトデザインを主に、それらに関連したユーザーインターフェイスデザイン、パッケージデザイン、Webデザイン

代表者

  • 代表取締役 後藤 規文

設立年

  • 1998年

従業員数

  • 3名

男女比率

  • 3:0

平均年齢

  • 37歳

tel

  • 0586-53-6530

fax

  • 0586-53-6531

E-mail

  • post@goto-design.jp

住所

  • 一宮市 〒491-0134
    愛知県一宮市更屋敷大山68-1

分野

  • グラフィック・広告
  • 映像コンテンツ・WEB・ホームページ制作
  • ID・プロダクト

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