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2011/11/02 update
「オンリーワン」をキーワードに、テントの可能性に挑む
誰もが目にしたことのある、丸八テント商会の仕事
テントと言われて思い浮かぶのは、アウトドアで使うキャンプ用テントに、運動会やイベント会場で見かける白いテント。ところが、世の中のテントはこれだけではない。
街中で、レジャー先で、ひいては海外まで。「こんなものまで!」と思わせるほど、テントの世界は奥深い。
名古屋市中区にオフィスビルを構える丸八テント商会は、昭和26年に創業。テント一筋60年の老舗企業である。
「オンリーワンにこだわる」をモットーに、創業当時からオーダーメイドにこだわり、依頼のあった店舗のイメージや屋根の形、印刷する広告、光の当たり具合などを考慮しながら、一つひとつ丁寧に創り上げて設置する。
その方法は昔から一切変わっておらず、社員数わずか十数名ながら施工数は年間で数百件を超えるという実績は、仕事に対する真摯さあってのものであることを感じさせる。
本社社屋
また家庭用、商店舗用だけでなく、愛知万博や中部国際空港をはじめ、ジャズドリーム長島、星が丘テラス、ラグーナ蒲郡といった私たちにもなじみ深い施設のテントも数多く手がけ、1998年にはアメリカにてIFAI (国際ファブリック・インダストリー)優秀賞を受賞。現在は、国内のみならず海外からの依頼も急増している。
船上屋根エアーテント
他社とは違うアプローチでお客様満足を
社長の佐藤均さんは、丸八テント商会の4代目。これまで既成概念にとらわれず、さまざまな新しい試みに取り組んできた。
たとえば、西陣織からヒントを得たテントの開発。
これは、テント地そのものに模様を織り込むことによって、色落ちしにくく耐候性アップを実現したもの。防炎防水加工はもちろんのこと、ペットボトルのリサイクル糸を使用し環境にやさしいのも特徴で、商店舗のテントだけでなく鞄や小物の素材としても利用できるとのこと。
また、昔から親しまれてきた「帆布」の耐久性・機能性を多くの人に知ってもらおうと、グッズの制作・販売なども手がけるなど、テントという枠にとらわれない、新しい使用方法や利用価値を追求し続けている。
西陣帆布で製作した
楽器ケース
他にも、東日本大震災を機に節電対策が求められたこの夏は、各地の工場などから遮熱化工事への問合せが急増したことを受け、丸八テント商会はいち早く最新素材を取り入れた節電を提案。
「工場などの金属板屋根に降り注ぐ直射日光を遮るため、『ルーフサンシェード』や『エアコン室外機遮熱カバー』の導入を積極的に提案しました。これらは冷房効率を良くし、また、アルミ純度99.9%の遮熱材である『リフレクティックス』は断熱材としてはもちろん、これからの季節は保温材としても効果的なんです。」と佐藤さん。
遮熱シート
このように、まだあまり知られていない素材を世に広く発信し、他社にはない新たなアプローチができるのも丸八テント商会ならではの強みだという。
とにかく、佐藤さんの話を聞いていると丸八テント商会の仕事の幅広さに驚かされる。「オーダーメイドにこだわる」は、先に紹介した通りだが、それはテントに限らない。注文があれば、大型器具のカバーから工具バッグ、駐車場の踏み板まで、さまざまな製作を手がける。それもすべて「オンリーワン」にこだわり、お客様の満足にこだわるからこそ。
踏み板
ワクワクする会社だから、仕事が楽しい
テントを必要とする業種は実に幅広い。商店の店先のフェイステント、スーパーの駐車場などに多いイメージテント、企業の収納スペース、公共施設の多目的スペース、イベントで使用するタペストリー…などなど。
東海地域を中心に、北海道から沖縄まで、全国で数え切れないほどの施工実績を誇る丸八テント商会。店舗リニューアルなどの際には必ず声がかかるなど、数十年来のつきあいのあるお客様も多く、お客様がお客様を紹介するケースも少なくないとか。
それは、どの仕事も丁寧にやってきたからですと、佐藤さんは胸を張る。
今1番楽しいことはなんですか? との問いに、「お客様と会うことですね」と即答する佐藤さん。歴史と実績を兼ね備えていながらも、社長自身、丸八テント商会はまだまだこれからの会社だと心から思っている。
事実、今も社長自らお客様のところへ足を運ぶという。
直接話を聞き、丸八テント商会にしかできない提案をするのだ。
「打ち合わせや工事が終わってお客様に『本当にありがとう』と言われると、心からうれしく思います。」
目を細め、照れたように笑う佐藤さんの顔から、この仕事が好きでたまらない、そんな思いが伝わってくる。
社員に尋ねると、「ワクワクする会社です」という答え。仕事をしていて楽しいです。口をそろえてみんなが言う。
「私も毎日ワクワクしています。社員からもそう言ってもらえるのは、経営者としては1番うれしいですね」と、佐藤さん。
ちなみに、佐藤さんの趣味は旅行。他の国のテントを見てまわり、写真を撮ってアルバムに保管しているとか。どこまでも仕事一筋である。
さらなる進化を目指し、ISO9001を認証取得
2007年に丸八テント商会はISO9001を認証取得している。ISO9001とは、品質マネジメントシステムの国際標準化機構による規格で、認定取得するための難易度が高いことでも有名だ。
丸八テント商会では、自社製品の顧客満足を向上するための術を正しく認識し、これまで以上にお客様からの信頼を高めたいという思いからISO9001の取得を決めた。
平均して6ヶ月~1年かかるといわれるこの規格を、キックオフから4ヶ月間という短い取組期間で認証取得まで成し遂げたのは、推進委員を中心とする社員の踏ん張りのおかげと、品質管理責任者として全体の取りまとめを行った梅本秀隆さんは言う。
産業用荷捌き場テント
ISO9001認定取得後は、社員それぞれの部署の責任と権限がより明確になることにより、「5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)」が徹底されるようになった。品質会議においても、以前よりさまざまな問題が提起されるようになったことでより一層の品質向上が図られているなど、丸八テント商会はさらに進化を続けている。
これからもテント一筋。これからも「オンリーワン」
丸八テント商会という社名について、「古臭い社名ですけどね」と笑う佐藤さん。
「だけど、社名を変える予定はないですよ。今後も変わらず『丸八テント』の名で、テント一筋でやっていきます」と続けた。
「テントを創って60年、おかげさまでたくさんの実績と信頼をいただきました。お客様のこだわりが私達のこだわり。世界に1つだけのオーダーメイド、セミオーダーメイドを、これまで培ってきた確かな技術で実現できるのが私たちの強みです。新しい技術やトレンドをいちはやくキャッチし、向上心を持って常にアンテナを張っているからこそ、多くのお客様に満足いただいているのだと自負しています。これからも、企業個人を問わず全国どこでも、お客様に満足していただける仕事をしていきたいと考えています。」
ガーデンウェディングのパラソル
「私たちの提供するテントは、『製品』というより『作品』だと思っています。お客様の喜びを原動力に、ますます喜んでいただける「オンリーワン」を創造していきたいですね。」
そう話す佐藤さんからは、テントの可能性はまだこれから、そんな確かな意思が感じられた。
丸八テント商会のチャレンジを、これからも楽しみにしていたい。