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2011/10/27 update
お客様に最も近いプロ集団。
生活をカバーするという発想
名古屋市中区を横断する若宮大通り。12年前、その道路沿いでじっと窓の外を眺めている印象的なソファがあった。ここがセミオーダー制のソファ専門店、FLANNEL SOFA(フランネルソファ)。
現在は設立から過ごしたその住処を離れ、西へ500mほど。大須観音駅付近に新たな住処を持つ。白く、広い店内の随所では、各々に見合う雑貨やインテリアに囲まれ、ソファがゆったりと息を吸っている。
以前のショールームは
現在フランネルキッチンへ
「以前のような通りすがりのお客様は多くないですが、最近は名古屋パルコのショールームでここに本店があることを知り、いらしてくれる方が多いですね。店内が広くなり、ソファが余裕をもって展示できるようになりました。台数も増えたので、古くからのお客様にはゆっくりでき、見やすくなったと喜ばれています。」
と店頭に立たれている川口さん。
現在のショールーム
新店舗になってからはどういった接客を?
「ソファの提案はもちろんのこと、お客様自身がお持ちの家具や、お部屋の間取りであったり。お部屋全体のバランスをみて、ソファのサイズや配置の仕方、生地の色味などをご提案し、より具体的な空間づくりを一緒にさせていただいています。」
一人ひとり、趣味趣向、家具などの持ち合わせも違うので大変ですね。
「いろんなお客様がいらっしゃるのでとても面白いです。まずお客様が求めているソファを理解して、その後ご提案をしていくんですが、いつも決まった提案ではなく、一人ひとりのお客様に合わせて提案の仕方を変えていきます。こういう感じの間取りが多いんだとか、こんな家具を使われている方が多いんだと、今お客様が求めているものが直に聞けるのでこちらも勉強になります。最近は自動掃除機のルンバを使われている方が増え、ソファの脚にある程度の高さがあるタイプをお求めになりますね。」
なるほど。ソファ屋さんにして現代の住宅事情も読めてしまうわけですね。
「そうですね。また、お部屋の真ん中に置いても圧迫感が少ない背の低いタイプが、中でも特に人気がありますね。ソファは他の家具に比べて存在感があるものなので、部屋の中でのバランスであったり、座り心地もそうですが、使われるお客様の生活に合わせた使い勝手が重要です。」
ソファの素材サンプル
「例えば、一日の中で横になることが多いようでしたら、ソファでも寝ることを前提にサイズを考えたり、長時間座ることが多いのであれば、座り心地や奥行きがあって背もたれの高いソファをおすすめしています。」
フランネルのソファは生活に見合ったその人だけのサイズ・かたちにすることで、ソファ自身が生活をカバーしてくれるという発想。しかし個々の要望に応えていくことは大変なのでは?
「いえ、それができるのがフランネルソファですから。私は常に店頭に立っていますが、直にこのソファを作っている工場がついている。それが店頭でご提案する何よりの自信になっています。それこそメーカーであることの強み。メーカーにしかできない提案を心がけています。だからどんなにこだわりのある特注ソファにも対応できますし、トータルの空間、各々の生活を考えてのご提案ができるのです。」
自信を生み出すFACTORY
ソファの製作は一人の職人が最後まで作り上げるのでしょうか?
「基本的には分業になっています。大きく分けて、裁断、縫製、張り。工場の一階では下張りや縫製品を張って仕上げる作業です。二階で行われている縫製以外は一人で最後まで仕上げることもありますが、全部を一人で担当すると効率が悪くなってしまうので、その時々によって変わりますね。」
と職人の一人、高橋さん。
フランネルソファは街中のショールームと少し離れた北名古屋市に工場を持つ。
工場内では日々、ショールームを介して出会うお客様とこれからの生活をともにするソファたちが、丹誠込めて製作されている。
ソファ職人の仕事はどういうものですか?
「意外と地味ですね。(笑)作業自体、派手なものではないので、集中していかにモチベーションを保つかが大事です。そんな中、最近よく思うのが、ソファ自体日本に入ってきてまだ日が浅いものなので、大半は日本の部屋の大きさに適したものにしているだけ。僕たち日本人に合うようなソファ、個々の身体に合うソファはまだ作られていないんじゃないかと。まだまだそこは模索中ですが、僕たちが日本人の身体に合うソファを作る、それが今の目標ですね。」
日々この工場で、一つひとつのソファと真摯に向き合うことで培われるこの意識が、着実に職人の技術となり、そしてかたちに施され、座る私たちへの安心感として還元されているのだろうか。
図面上でたたき出された数字(サイズ)とただ向き合うのではなく、職人自身会うことのない、このソファの持ち主を思いかたちを描く。気持ちを汲み取るように。その持ち主が求める心地良さを数値(サイズ)化できるのがフランネルソファの職人であり、それがフランネルソファの自信なのだ。
工場二階にある縫製の現場
人と人をつなぐソファ。
「工場があることの自信」がある。
「メーカーにしかできない提案」をする。
いわばフランネルソファのモットーであり、またその強みの原点は代表である和田崇さんご自身が感じた、過去の家具業界の体制にあるようだ。
「父親がソファを作っていて、物心ついた頃から父に習ってソファを作っていました。ちょうど大学へ入った頃、日本はバブル崩壊、デフレ不景気の一番悲惨なとき。家具業界は古くからの「メーカー」-「問屋」-「小売り」-「顧客」という流れが守られており、いつまでもユーザーの声がメーカーに届かない。さらにメーカーは問屋の言いなり。それでも生産はどんどん中国へシフトしていき、国内の工場はどんどん廃業する。そんな場面を目の当たりにしてきました。」
その状況下で、いつか父のメーカーもその波にのまれてしまうかもしれない、そんな危機感があったという。
「昔は『ものをつくる人(職人)』と『それを買う人(お客)』がいて、こんなものが欲しい、それが伝わって『モノ』ができる。そんな単純なものだったでしょう?だからその単純な関係に戻したかった。お客様の声が、つくり手に届く関係。それでこそつくり手のモチベーションが上がり、さらにいいものができる、そういう流れに。そこに日本製の生き残りがあると感じていました。」
そのストレートな構図は、職種を限定せず、全つくり手の率直な思いであり、また願いなのだろう。
その思いをフランネルソファでは、この工場とショールームを介し、実現しようとしているのだ。
「思い」を『かたち』に
購入から配送、設置はもちろんのこと、その後のメンテナンスや、希望があれば張り替え、修理にも逐次対応してくれるフランネルソファ。要は一生、そのソファの面倒を見てくれるということ。
当たり前のようでこれはかなり時間や手間のかかるサービスに思えるのだが…
「いえ、買っていただいてからやっとお客様とのお付き合いが始まりますから。」
と和田さんはさらりと言う。
一般的に商品が購入され設置するまでが店側の最終地点だと思いがちだが、そこがフランネルソファの違うところ。そこからが彼らにとってのスタート地点なのだ。
「私たちはソファを介してお客様とおしゃべりできる関係を目指しています。立場は上からでもなく、下でもない。「何が欲しいのか」「どういう生活がしたいのか」という誰もが当たり前に持つ、その理想を引き出すことからです。
そこからデザインが生まれていくわけですが、そのデザイン自体は確認するためのものでしかない。相手とイメージを共有するために使用するツールと考えています。デザインがあって、それがかたちになっていくのではなく、『どういう使い方をするのか』『何のために必要なのか』そういう個々の思いをかたちにしていくこと、それがフランネルソファの仕事であり、フランネルソファのかたちなんです。
私たちが真摯に向き合えば、きっとソファを大事にしてくれる。それは人と人との関わりと同じこと。」
そのまっすぐな思いに、自身の生活を委ねてみたくなった。
(寺島)
スタッフ紹介
高橋 宏太
【所属】製造部
【職種】ソファ製作、デザイン
【入社年】2006年8月
【出身校】名古屋芸術大学
【ニックネーム】コータ
【血液型】O型
【趣味】日曜大工、ギター、サッカー
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常にさまざまなモノにアンテナをはり、そのアイデアをソファデザインに生かしています。
自らの手でつくり、デザインする。そんなマルチでオンリーワンな人間でありたいです。
元島 智
【所属】製造部
【職種】ソファ製作
【入社年】2010年7月
【出身校】町田・デザイン専門学校
【ニックネーム】モトジー
【血液型】B型
【趣味】旅行、サッカー
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ご縁があって此処名古屋に来ました。決まった型にハマらず、お客様の要望に応えるため工夫するフランネルソファの姿勢が好きです。
今後も良いソファをつくり、お客様に喜んで頂ける仕事をしていきたいです。