※取材記事のアイコンがついている企業様は
リンクス・ハブのスタッフが取材し、
記事として掲載しているタイプです。
2012/03/07 update
■オーソドックス春慶―伝統の美を持つ、箱物を中心にした伊勢春慶
■カジュアル春慶―伝統の良さを継承し、ユーザーの視点に立った現代の暮らしに馴染む新しいデザインの伊勢春慶
①現代の暮らしにあわせた伊勢春慶の開発(新しいデザインの開発、製作と販売)
②伊勢春慶の技術の継承と塗師の育成
③伊勢春慶デザイン工房の運営と管理
はじめよう漆器のある暮らし
伊勢春慶は江戸時代から昭和30年代頃まで伊勢で盛んに作られた普段使いの漆器です。その始まりは室町時代に神宮の工匠が御造営の不用材の払い下げを受けて作られた物といわれ、多くは指物による箱形の木地に弁柄などで着色目止め、渋引き(柿渋)、拭き漆を重ね、春慶漆で仕上げます。桧の美しい木目を最大限に生かしているのが特徴で、丈夫で使い勝手の良い暮らしの道具として、河崎の問屋を通じて広く全国で使われていました。昭和30年代にプラスチック製品の普及に伴い伊勢春慶はすたれましたが、近年、ライフスタイルの見直しとともに、伊勢春慶の良さがあらためて注目されるなか、平成16年5月に伊勢春慶を愛する有志によって「伊勢春慶の会」を設立し、再生を目指した取り組みを行っています。
伊勢春慶の会は、伝統の良さに現代の感覚を重ねたデザイン、ユーザーの視点に立った新しいデザインの伊勢春慶を創りたいと、京都工芸繊維大学の学生たちとのコラボレーションでデザイン開発を行い、カジュアル春慶、伊勢春慶テーブルウェアを生み出しました。
また、平成20年3月に、河崎の古い町家を改修した「伊勢春慶デザイン工房」は、伊勢春慶の伝統技術(塗り)の習得と継承、塗師の育成の場として大きな役割を果たしています。平成21年からは塗師の養成事業を本格化させ、生涯現役を合言葉に、熟練の塗師の指導のもとに、若手、退職後のセカンドライフ世代など10数名の塗師見習いが修業に励んでいます。
このように「伊勢春慶の会」では、「伊勢春慶」が新たな産業となることを目指して取り組むとともに、伊勢のものづくりを高め、暮らし文化を提案しています。
(伊勢春慶の会)
2012/02/10 update
神宮御用紙奉製の伝統から生まれたプリンタ用和紙。
「大豐和紙工業株式会社」は、一世紀以上にわたって伊勢の神宮の御神札用紙を奉製納入してきた「神宮御用紙奉製所」です。御神札用紙は、透かしを漉き込み、美しく強く印刷適性にすぐれた卓越した和紙であり、厳格な全数検査を経て出荷しています。
近年、このような伊勢和紙の特徴を生かして日本画・版画・写真制作など美術用紙を開発し販売を始めました。特にインクジェットプリンタ用和紙として、薬剤による加工を加えず、天然の繊維の特性だけで印刷特性を引き出す手法が各界から注目を浴びています。プリンタでの印刷に加えて、筆やペンによる書き込みも可能なので、創作の幅が拡がるといいます。
工場敷地内の「伊勢和紙館」では、伊勢和紙の歴史や生産工程を紹介し、和紙製品や小物商品を販売しています。機材を活用して伊勢和紙プリント制作を行うこともでき、併設の「伊勢和紙ギャラリー」では、折りに触れ伊勢和紙を使用した写真や書画などの作品展を開催。伊勢和紙の使い方提案・作品鑑賞の場として多くの来場者を迎えています。
(LINKS NAGOYA 事務局)